イタリアの丘の上、森の近くにある中古物件の家を購入して4年。 まだそこには住んでいないのですが、ある年の草取り中、庭でサクランボの種が混じった「動物の落とし物(排泄物)」を見つけました。森の動物が運んできてくれた、自然のギフトです。
さらに、その翌年。同じ場所で、小さな苗木がひょっこり顔を出しているのを見つけました。「あの時の種が、命を繋いだんだ」――。
そうして鉢に上げ、我が家で育て始めた山採りサクランボも、今年で3年目(出会ってからは4年目)を迎えました。
正直、育て方は手探りです。剪定の時期に迷ったり、葉っぱに黒い斑点が出て焦ったり……。今回は、そんな野生児なサクランボと、盆栽初心者3年目の私が格闘したリアルな日常をお届けします。
山採りした当時の小さなサクランボの苗木

まだ住んでいない庭ですが、ほったらかしにするといろんなものが生えてきます。
サクランボの苗木を見つけたときは、雑草のポピーの花が生い茂っていて、隠れて見えませんでした。
見つけたとき、瞬間に思い出しました。ああそういえばこの辺に、サクランボの種が混じった「動物の落とし物」があったこと。
写真を撮って植物検索アプリで探してみたところ、サクランボの確率が多かったので育ててみようと思いました。
とりあえず、掘り起こして土がついたまま水に浸しました。
すぐに鉢に移し替えたかったのですが、まだ住んでいない場所だったため、一日この状態に。。


翌日、有り合わせの鉢と土を使って、鉢に移しました。知識不足のど素人だったため、とりあえず、「植え替え時は日陰」という考えで、庭木の木陰に置いておきました。
植え替え時は、ほのかに桜の葉の塩漬けのような、なんだか懐かしい匂いがしていました。
植え替えた後、あまりいい天気が続かず、土は湿った状態で、カタツムリが侵入していたり、いいコンディションではありませんでした。
そうこうしているうちに一か月過ぎ、一番元気そうなサクランボの苗木に新しい芽が出ました。
7つの苗木の中の、2つはダメになりましたが、その翌年も1つ新しい苗木を庭で見つけて、現在は合計6つの苗木を育ててます。

初心者3年目のリアルな格闘
サクランボを育てるのも初めてだし、盆栽仕立てにするにはどうすればいいのか全くわからず、2年目はとりあえず一回り大きいサイズの鉢に植え替えただけで、水やりと肥料を与えるくらいで特に何もしませんでした。

画像は、2年目の植え替えて約一か月後の4月下旬の様子です。
葉っぱは大きいし、育ちがいい苗木は上へ上へと勢い良く伸びていきました。
トラブル1:剪定の時期がわからない
「桜切る馬鹿」ってどっかで聞いたことがあって、剪定するのを躊躇していました。そして、新しい梢を適度に切る作業をしないと上に大きく育つだけだということを3年目で知りました。
3年目の2月下旬に、一回り大きく深さが普通より半分くらいの鉢に植え替えた後に剪定してみました。
画像手前は、2年目の苗木ですが、幹の高さは15センチか20センチくらいで、ふっくらとした新芽が出ているすぐ上を45度の角度で選定しました。3年目の苗木の画像がありませんが、一番元気そうな新芽のすぐ上を選ぶと幹の高さは20センチ以上になりました。

そして、剪定した部分の切り口を、癒合剤でコーティングしました。
余談ですが、イタリアの園芸店では、常滑焼などの盆栽の仕立て鉢は簡単に見つけられません。何店舗か探して、良さそうな物をやっと見つけました。

画像は、7月上旬の時に撮った物ですが、5月ごろに新梢の剪定のタイミングがわからず、随分伸びきってから選定して針金掛けも終わった状態です。ものすごくビヨーンと伸びてしまって、これはこれでありかな?と、次の年にまた仕立てればいいか?と実験的にやってます。
トラブル2:葉っぱの黒斑点
5月中旬頃、葉に黒い斑点が出始めました。この年の5月上旬は冬に戻ったような寒さでした。
とりあえず、黒星病やうどんこ病などにすぐ使かえるスプレータイプの薬剤を撒いて、黒い斑点がついた葉は処分しました。

トラブル後のサクランボと、力強い新芽
この年のイタリアは、5月下旬から急に夏日になりました。

画像は、5月下旬です。葉に黒斑点が出てたサクランボの苗木に新しい芽が出始めました。
ちょっとわかりずらいかもしれませんが、5月下旬に出た新芽が、1か月後にここまで成長しました。

その後のサクランボに、さらなるトラブル
この年は、ヨーロッパ全体が猛暑で、6月中で北イタリアでも最高気温39度を観測しました。イタリアの夏は、朝6時前から日が出て、夜の8時~9時くらいまで明るいです。例年の最高気温は30度前後です。
苗木の置き場所は、朝から日が当たり15時半か16時くらいから日陰になる場所です。
水やりの管理は、夕方に土の表面が乾いているものに水をたっぷり与えてます。
しかし、この状況がトラブル引き起こす原因になりました。
トラブル3:葉が焦げたり、色が抜けたり、穴が開いたり…

6月~7月上旬まで、特に日除け対策はしていませんでした。
突然の悪天候に見舞われるときもあって、雨にさらされる時もあります。
この年の6月上旬に直径5センチくらいの雹が降って、まだ住んでない家のシャッターが凹んだし、近所の家々の網戸や窓ガラス、屋根瓦など被害にあったりしました。
16時過ぎに水やりをしていますが、日陰になっても鉢の中の土がまだ熱い状態だったかもしれません。
GoogleのGeminiで、質問したところ「サクラ属(桜・さくらんぼ)に非常に発生しやすい「せん孔褐斑病(せんこうかっぱんびょう)」(英語名:Cherry leaf spot / Shot hole disease)、およびイタリアの夏の強い日差しによる「葉焼け(サンバーン)」が同時に起きている可能性が極めて高いです。」とのことでした。

原因の分析1: 褐色の斑点と穴:せん孔褐斑病(カビ・細菌)

- 特徴: 葉に褐色の斑点ができ、時間が経つとその部分の組織が枯れてポロリと抜け落ち、虫に食べられたようなきれいな穴が開くのが特徴です。
- 要因: イタリアの春から初夏にかけての雨や湿気によって菌が繁殖し、今になって症状が次々と表面化していると考えられます。
原因の分析2: 焦げたような状態・色の抜け:葉焼けと水分ストレス
- 特徴: 葉の縁が茶色く縮れて焦げたようになったり、葉の色が薄くなったりします。
- 要因: 「日中の強い日差し」と「鉢植え」の組み合わせによるものです。日中、強い直射日光を浴びると鉢の中の温度が急激に上がり、根が熱で傷んだり(根痛み)、夕方の水やりまでに一時的な水切れ(水分ストレス)を起こして葉が焦げたようになります。

原因の分析3:散水 ホースシャワーで葉の上からかけていた
画像は部分的な物ですが、思い返すと大部分は水やり時に水が当たる下部の葉っぱの症状が酷かったです。おそらく、水跳ねによって土壌付近の菌が葉に感染した、典型的な「せん孔褐斑病(または他のカビ性の病気)」の初期・中期状態というGeminiからの回答でした。
対策:痛んだ葉は摘み取って、水やりの方法を改善
同じような経験をされた方や、私自身のメモとして対策を記しておきます。
葉を摘み取る「基準」
すべての葉を取るのではなく、症状の度合いで判断するといいらしいです。
完全にむしり取る葉(処分する)
- すでに全体が黄色くなっている葉
- 葉の半分以上が茶色く焦げたり、ボロボロに穴が開いている葉
- ※これらはもう光合成の役割を果たせず、病気を広げるだけなので取り除きます。
残すべき葉(取らない)
- 「小さな斑点が数個あるだけ」「一部だけ色が抜けている」という葉
- これらは残してください。 多少病気にかかっていても、緑色の部分が残っていれば木は光合成を続けられます。これらをむしり取って丸坊主にする方が、苗木にとっては致命傷になります。
ハサミは使わず、手で摘み取るといいようです。ただし、病原菌の葉を手で摘み取ったあと手から他の鉢の苗木に感染しないように、鉢ごとに新たに手を石鹸で洗うことが原則です。
症状がひどい摘み取った葉は、他の苗木に感染しないように袋に入れて家庭ゴミで処分するべきとのことです。
水やり方法の緊急改善(最重要)
「水が当たる部分の症状がひどい」というのは、水やりの際に土に潜んでいた菌が水滴と一緒に跳ね返り、下方の葉に付着したことが原因です。今すぐ以下の方法に変えてください。
マルチングをする(土を覆う)
土の上に、園芸用のバークチップ、ココヤシファイバー、または乾燥したワラなどを敷き詰めて土を隠してください。これにより、水やり時の「泥跳ね」を完全に防ぐことができます。
株元に優しく注ぐ
ジョウロのハス口(シャワーの頭)を外し、水差し(細い注ぎ口)の状態で、土の表面に直接静かに水を注いでください。勢いよく水をかけるのは厳禁です。
私の場合、鉢目いっぱいに土で覆われているのでマルチングは却下し、株元に優しく注ぐ方法を選びました。鉢を水に浸すドブ漬けの案もあって検討したのですが、病原菌の感染予防にバケツや桶の水を鉢ごとに新しく入れ替えるのが面倒くさいなぁと思ったので、株元に優しく注ぐようにしました。
日除け対策

あり合わせの廃材とスダレを利用して、特にサクランボの苗木に直射日光を当たらないよう工夫して半日陰になるように屋根を作りました。
ピントがいまいちあってなくてわかりずらいですが、トラブル続きだけど、新しい葉芽が出て、希望の兆し。

まとめ
気軽に育て始めたサクランボは、非常にデリケートで盆栽はもちろん栽培難易度が高いということが分かった。今後、良い方向に回復するのを祈りつつ、伸びきった枝をどう処理して形にしていくか、また次回に記していきます。
